医療法人瞳潤会 田村眼科

流涙症(なみだ目)

6EYE DISEASE

明石イメージ

流涙症(なみだ目)とは

涙の流れは、水道で例えることができます。
蛇口をひねって水を出すと、シンクを通って排水管へ流れていきます。
しかし、排水管に汚れがたまり詰まったりすると、水は逆流してあふれ出します。

このように、涙が何らかの理由で正常に流れなくなり、涙っぽくて困る症状を流涙症(なみだ目)といいます。

風に当たると涙がこぼれる、何もしていないのに涙が出る、目やにが気になる、なぜか眼鏡が曇りやすい、といったお悩みがあれば、我慢出来る程度であっても一度眼科を受診される事をおすすめします。
涙の通り道(涙道)が詰まっていたり、白目がたるんでいる(結膜弛緩症)、逆まつげが当たっている(眼瞼内反症)等、原因がはっきりとわかるかも知れません。

涙と涙道

【画像】涙液の流れ_Copyright: Santen Pharmaceutical Co., Ltd.

Copyright: Santen Pharmaceutical Co., Ltd.

涙は目にとって非常に重要です。乾きを潤したり、栄養素や酸素を届けたり、埃などの不要物を洗い流したり、細菌等から目を保護しています。

図のように、涙は涙腺から分泌され、眼表面を潤し、まぶたの内側にある涙点から涙小管・涙嚢へと流れ、鼻涙管を通り、鼻の中へと流れ出ていきます。

涙点から鼻涙管までを涙道といいます。


この涙道が狭くなったり閉塞してしまったりすると、流涙や眼やにを生じます。
中にはひどくなってまぶたや目尻の皮膚がただれたり、膿が出たり、周囲が赤く腫れて痛くなる方もいます。

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原因疾患と治療方法

流涙症の原因となる疾患には様々なものがあります。

鼻涙管閉塞症(閉鎖症、狭窄症)

鼻涙管が何らかの原因によって閉塞した状態です。主な原因は、加齢による老廃物の蓄積です。
その他にも、慢性鼻炎によるものや、外傷、涙石、周囲部の腫瘍、点眼薬の過度な使用、抗がん剤の副作用等によっても発生する事があります。

点眼薬や内服等の対処療法では閉塞は改善しない事が多いため、手術が必要となります。
涙道内視鏡を用いた「涙管チューブ挿入術」では、まず閉塞を開放してからその部分にチューブを留置し、涙道が開通したままで問題なさそうであれば、しばらく日にちが経過してからチューブを抜去します。
また、涙嚢の鼻腔の間に涙の通り道を作成するため、鼻内視鏡を用いた「涙嚢鼻腔吻合術(るいのうびくうふんごうじゅつ)」が必要となる症例もあります。
当院では、いずれの治療も日帰りで実施しています。詳しくは、涙道の手術のページ(こちらをクリック)をご覧ください。

その他、先天的に鼻涙管が閉塞している赤ちゃんもよく見受けられますが、そのほとんどは1歳に達する頃までに自然に解消していきます。しかし、なみだ目が続いたり目やにが多くて困るようであれば、涙道に細い器具を入れて開通する治療(ブジー)を行う事もあります。


涙嚢炎

鼻涙管閉塞の状態を放置したり、我慢していて悪化すると、涙嚢に細菌が繁殖して膿がたまって慢性涙嚢炎という状態になる事があります。

更に症状が進むと、涙嚢部周辺が赤く腫れたり、痛くなったり、膿のような目やにが大量に発生する事もあり、これを急性涙嚢炎といいます。涙嚢部のみならず、発熱や脳髄膜炎等の全身症状へと繋がる事もあり、速やかな治療が必要です。

上述の涙管チューブ挿入術では対応出来ない難治症例も多くなりますので、治療出来る確率が高い「涙嚢鼻腔吻合術(るいのうびくうふんごうじゅつ)」を検討します。涙嚢鼻腔吻合術はDCRとも呼ばれ、当院では鼻内視鏡を使用した鼻内法にて日帰りで実施しています。
詳しくは、涙道の手術のページ(こちらをクリック)をご覧ください。


眼瞼内反症・睫毛内反症

いずれも睫毛(まつげ)が目に当たる事が刺激となり、流涙症に繋がる事があります。

眼瞼内反症では、下まぶたの筋肉や皮膚等の組織が緩んで、内側に反り返った状態となります。その結果、本来目の外側を向いているまつげが目の内側の角膜や結膜に当たってしまいます。加齢等の要因により、比較的高齢者で発症する事が多いのが特徴といえます。
また、まばたきには涙を流し出す働きがありますが、まぶたが緩んだ状態ではその働きがうまくいかず、涙の流れが悪くなっている事があります。溜まった涙は外へこぼれ、流涙してしまいます。

それに対し、睫毛内反症はよく子どもに見られ、逆さまつげとも呼ばれます。特に東洋人では眼瞼(まぶた)の内側の皮膚が多いために、睫毛(まつげ)が目の内側に押し込まれている場合があります。
子どものうちは睫毛(まつげ)が柔らかいので特に困らないケースが多々あり、先天性のものについては経過観察で自然軽快を待つ事もあります。しかし、いつまでも治らないままだったり、異物感やなみだ目、乱視、角膜びらん等の症状が出てきた場合や、その他後天性の場合等においては治療を検討します。

手術には、糸を結んで埋め込む埋没法や、皮膚を切開してから固定する比較的効果の高い切開法があります。


結膜弛緩症

結膜(白目の部分)がたるんで、主に目の下側へしわ寄って集まっている状態をいいます。

肌にしわやたるみが生じるように、加齢とともに多く見られます。見た目にもわずかに余剰な結膜が横たわっているので、それが直接的な原因となって目がしょぼしょぼする、ゴロゴロする等の不快症状につながります。

流涙症とも関連があり、本来目を均等に潤す涙が結膜弛緩のしわの部分に集まったり、そこから流れ落ちてしまう事があります。目が乾くのでドライアイだと思っていたら、結膜弛緩がある事によって涙がこぼれ落ちていたためだった、という事もあります。

余剰な結膜を取り除く結膜切除術は、比較的短時間で行われます。術後違和感がありますが、その後徐々に症状が改善していきます。


眼科では、流涙症の原因を調べるために様々な検査を行います。涙の分泌が多いのか、それとも涙が正常に流れていかないのか、見極める必要があります。

最初に細隙灯顕微鏡検査を行い、見える範囲で主に眼の表面の状態から調べます。涙道閉塞が疑われる場合は、涙管通水検査といって、注射器のようなもので涙点から水を流して、鼻や口まで通るかどうかを確認します。
より詳細な観察が必要な場合は、涙道内視鏡という直径0.9mmのカメラを使用し、涙道内部まで調べる事が可能です。

いずれの検査も痛みはありません。たかが涙と思われずに、お困りの場合は早めに眼科を受診してください。

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涙道の手術について

以下はおおまかな概要となります。
日帰り手術の流れや注意点、合併症、費用等の詳細については「涙道手術」のページ(こちらをクリック)をご確認ください。

手術の流れ

麻酔をします

まぶたと鼻内にもしっかりと麻酔を行います。


(涙管チューブ挿入術の場合)閉塞部分の開通

涙道内視鏡を用いて閉塞部分を開通させます。


(涙嚢鼻腔吻合術の場合)涙道と鼻内間の骨削開

涙道と鼻内の間にある骨を一部削って、新しい涙の流れ道を作ります。


チューブ挿入

涙の通り道を確保するため、チューブを留置します。

手術時間は症状により異なりますが、涙管チューブ挿入術でおよそ10~15分程度、涙嚢鼻腔吻合術でおよそ20~30分程度です。
手術前に丁寧に説明を行わせて頂き、術後もしっかりとサポート致します。

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