飛蚊症
23EYE DISEASE

目次
飛蚊症とは?
飛蚊症とは、視野の中に浮遊物が見える症状です。
小さな黒い陰が動いているように見えることがあり、まるで蚊が飛んでいるかのように感じられるため飛蚊症と呼ばれています。
眼球を動かすと、黒い陰などのようなものも追従してきます。
加齢など生理的に生じることもあり、特に問題がない場合もあります。
しかし、眼底疾患や前駆病変である可能性もあり、眼科で検査を受けることは必要です。
例えば網膜剥離や眼底出血であったり、一過性黒内障の場合は脳梗塞の前兆症状として現れる事もあります。
視野の中に黒い陰や点が見られる場合は早めに眼科もしくは脳神経外科へとご相談ください。
飛蚊症の原因
原因は生理的な場合もありますが、その他の疾患により引き起こされることもあります。
原因1:加齢
飛蚊症の生理的な原因は主に加齢です。
加齢により硝子体が変性し、網膜から離れることで症状が引き起こされます。
眼球の中には硝子体が詰まっていますが、硝子体は年齢により融解されたり萎縮したりして濁りが発生します。
すると硝子体に生じた濁りが光により網膜に投影されて、存在しないものが視界に入ってくるようになります。
高齢の方ほど加齢による飛蚊症を発症しやすいですが、必ずしも若い人が罹患しないわけではありません。
強い近視の方は生理的に発症しやすい傾向があります。
また、加齢に伴って後部硝子体剥離が起き、その結果として飛蚊症を発症することもあります。
原因2:先天性
稀に先天的に飛蚊症を持っている方もいます。
その場合の原因は、硝子体の中にある血管の残存です。
胎児の頃の眼球形成過程では硝子体の中に血管があり、眼球の形成とともに消失するのが一般的です。
しかし眼球が正常に形成されても、血管の痕跡が残る方もいらっしゃいます。
加齢による生理的飛蚊症と同様に、痕跡が網膜に投影されることで黒い点・影などが見えます。
原因3:網膜剥離・網膜裂孔
網膜剥離・網膜裂孔などの疾患が原因となることもあります。
初期症状として存在しない小さな物が視界に入ってくることがあるため、早急に治療を始める必要があるケースです。
網膜剥離とは網膜から色素上皮が剥離する疾患のことで、網膜に裂孔が生じる場合は網膜裂孔となります。
網膜剥離や網膜裂孔は初期段階では軽度な症状しか現れません。
しかし進行すると視野の欠損や視力低下が見られるようになり、失明する危険性もあります。
網膜剥離については、こちらの「網膜剥離の特徴的な症状や疑われる原因と治療法」の記事でも詳しく解説しております。
原因4:硝子体出血
硝子体出血もその原因のひとつです。
出血により赤血球の影が網膜に投影されるため、飛蚊症のような症状が見られるようになります。
硝子体出血とはその名の通り、硝子体で出血が生じる疾患です。
網膜裂孔や糖尿病網膜症、網膜静脈閉鎖症など、網膜の疾患により出血します。
もし硝子体出血で黒い点が見られる場合は、出血の量が少ないと考えられます。
しかし出血量が多くなると、血液により墨を流したような影が視野に現れたり、全体がほとんど見えなくなったりする症状へと進行します。

原因5:ぶどう膜炎
ぶどう膜炎の初期にも飛蚊症のような症状が続きます。
炎症により硝子体に濁りが現れ、小さなゴミや虫が目の前に浮いているような症状が見られることが特徴です。
また、同時期に目のかすみや眩しさなどが感じられることもあります。
ぶどう膜とは眼球の周りに広がっている膜のことです。
原因は細菌感染や免疫異常とされていますが、原因が不明であることも少なくありません。
何らかの原因でぶどう膜に炎症が生じ、飛蚊症などの症状が続いた後に視力の低下や視界の歪みなどが感じられるようになります。
小さな黒い点・影などの数が増える場合は、ぶどう膜炎の可能性もあるため注意が必要です。
飛蚊症の症状
症状は人によりさまざまです。
しかし、実際には存在しない浮遊物のようなものが見えるようになるという点は共通しています。
飛蚊症で見られる浮遊物
飛蚊症で視界にあらわれる黒い点・影などの特徴は人により異なりますが、次のようなものがよく見られます。
【浮遊物の特徴】- ごまのような黒い点状のもの
- 髪の毛のような細いもの
- 輪になった煙のようなもの
- 小さな水玉のようなもの
- 小さな虫のようなもの
生理的もしくは先天的な発症では、黒い点・影などが見られること以外に症状は現れません。
もし同時に視野の欠損や眩しさなどが感じられるようなら、何らかの疾患が原因で飛蚊症が引き起こされていると考えられるでしょう。
特に原因疾患の存在しない場合では、以上のような特徴を持つ浮遊物が視野に現れます。
飛蚊症における症状の現れ方
引き起こされる症状に関しては、その症状の出方に特徴があります。
まず症状が現れやすいのは明るい場所です。
空や白い壁などを見ると黒い点・影などが目立って見え、暗いところでは目立ちません。
硝子体の濁りが投影されたものなので、眼球運動とともに黒い点・影なども追従することが特徴です。
飛蚊症による副次的症状
飛蚊症ではストレスや集中力低下など、副次的な症状が感じられることがあります。
常に目の前に小さな虫のようなものが浮いていれば煩わしいものです。
黒い点・影などの存在によってストレスを感じたり、集中力が低下したりする場合も少なくありません。
飛蚊症の治療方法
飛蚊症と診断された場合の治療方法は主に4種類です。
治療1:経過観察
特に問題のないケースであれば、治療を行わず経過観察とします。
生理的・先天的発症では必ずしも治療が必要なわけではありません。
そのため危険性がなく、患者さんが治療を希望されない場合は経過観察となります。
治療2:硝子体手術
引き起こされている症状が強く、患者さんが治療を希望される場合は硝子体手術を行います。
硝子体手術とは外科的に硝子体の濁りを除去する治療法です。
手術では眼球を小さく切開し、専用機器を挿入したうえで硝子体の濁り部分を切除します。
切除した濁り部分は吸引によって除去。
物理的に飛蚊症の原因となる濁りを除去するため効果は高いと考えられます。
その他の疾患による飛蚊症が、原疾患治療後に残った場合も硝子体手術を実施することがあります。
硝子体手術の具体的な内容については、こちらの「硝子体手術の内容と注意点」のページをご覧ください。
治療3:原疾患ごとの治療
何らかの疾患が原因で飛蚊症が引き起こされている場合は、原疾患ごとの治療を実施することが最優先です。
その原因となる疾患の中には、緊急性の高いものも含まれます。
特に網膜剥離・網膜裂孔は進行すると失明する可能性もあるため、早急に治療を行わなければなりません。
原疾患ごとの主な治療法は次のとおりです。
【原疾患ごとの治療法】- 網膜剥離・網膜裂孔:レーザーによる凝固・手術
- 硝子体出血:経過観察・硝子体手術
- ぶどう膜炎:ステロイド点眼・ステロイド注射・散瞳薬・免疫抑制薬
網膜裂孔のみの場合はレーザーによる凝固で網膜剥離を回避します。
もしすでに網膜剥離が起きている場合は、手術により網膜を引き戻さなければなりません。
硝子体出血は自然と回復することがほとんどです。
しかし1ヶ月程度経っても出血の吸収が行われない場合は硝子体手術が必要となります。
ぶどう膜炎では手術は実施せず、ステロイドの点眼・注射や薬物療法により回復を目指します。
まずは眼科に相談
飛蚊症とはどのような疾患か、原因や症状、治療法について紹介しました。
生理的・先天的飛蚊症では緊急性がありませんが、その他の疾患が潜んでいることも考えられるのでまずは眼科に相談してください。
当院では、高度な専門性を有する医療スタッフによる医療の提供を通じて、白内障を主体としつつ数多くの目の病気への治療に対応しております。
特に白内障の日帰り手術に注力しており、多焦点眼内レンズも豊富に取り扱っております。その他硝子体、眼瞼下垂、涙道、緑内障等の治療についても日帰り手術が可能です。
また、明石市のみならず近隣地域(神戸市西区、神戸市垂水区、淡路市等)にお住まいの患者さんからも多くの治療のお問い合わせをいただいております。
目の病気にお悩みの方や、治療をご検討中の方はぜひ一度兵庫県明石市の田村眼科までご来院ください。