ぶどう膜炎の特徴的な症状や疑われる原因と治療法 | 明石の田村眼科|日帰り白内障・硝子体・涙道再建・緑内障・眼瞼下垂手術

医療法人瞳潤会 田村眼科

ぶどう膜炎

7EYE DISEASE

明石イメージ

目は細胞・血管・神経など複数の組織から成り立っています。

それらの1つでも上手く作用しないと、見え方に支障をきたします。

 

ぶどう膜炎とは、網膜や強膜等と一緒に眼球を構成している「ぶどう膜」と呼ばれる組織がダメージを受け、視力を悪化させる病気です。全身面との関連が深く、炎症等によって重症化したり再発するケースも比較的多いため、注意が必要です。

 

そこで本記事では、ぶどう膜炎の特徴・種類や自覚症状、発症原因や治療法などを解説します。

ぶどう膜炎とは

ここではまず、ぶどう膜炎が発生する組織の位置や役割、病気の種類を確認しましょう。

ぶどう膜炎の位置・役割

ぶどう膜炎とはその名の通り、ぶどう膜という目の組織が炎症を起こす疾患です。

 

眼球の外壁は、外膜・中膜・内膜の3つから構成されます。

目の内側にある中膜は色がついており、形状がブドウに近いため「ぶどう膜」と称されます。

 

ぶどう膜は虹彩・毛様体・脈絡膜の3つから成り立ちます。

虹彩とは水晶体前面にあり、瞳孔を囲む環状の色のついた膜のことです。カメラの絞りのように瞳孔の大きさを調節し、目に入る光の量を調節します。

毛様体とは虹彩の後ろに位置し、血管と筋肉が豊富にある組織です。毛様体の筋肉を伸縮させることで水晶体の厚さを調節してピントを合わせたり、房水を作って眼内に栄養を送ったりします。

脈絡膜とは網膜と強膜の間で、毛様体から視神経まで広がる膜のことです。血管に富んでおり、網膜に栄養素を届けます。

 

ぶどう膜は、目の組織の中でも特に血管が集合している部分です。

血液の流れに影響を受けやすく、細菌の侵入に対する白血球の反応・機能が深く関わります。

そのため、ぶどう膜炎は体の他の器官の炎症と併発する可能性が高いです。

また、ぶどう膜は網膜と全面的に繋がっています。

網膜は目に入ってきた光を感知し、視神経を通じて脳に視覚情報を伝える組織です。

ぶどう膜が炎症を起こすと、網膜にダイレクトに影響を与え、視界や視力にダメージを与える事があります。

ぶどう膜炎の種類

ぶどう膜炎は、炎症が発生する部分に応じて病名が変わることがあります。

虹彩を含む前眼部の炎症は、「前部ぶどう膜炎」もしくは「虹彩毛様体炎」といいます。

「中間部ぶどう膜炎」は、眼球内を満たすゼリー状の硝子体まで炎症が及ぶ疾患です。

網膜や脈絡膜まで炎症が広がる「後部ぶどう膜炎」は、最悪の場合失明のリスクもある重度の疾患です。

ぶどう膜全体を覆う炎症を「汎ぶどう膜炎」と呼びます。

 

ぶどう膜炎の発症原因は様々で不明な事例も多く、「突発性ぶどう膜炎」とされます。

ぶどう膜炎で見られる症状

ぶどう膜炎で見られる症状は、炎症の部位や根本となる原因によっても異なり、初期の軽い症状から重度の症状まで見られます。

炎症した細胞や血管が眼球内に浸潤すると眼球内部が濁り、視界が霞んだり、まぶしく感じたりして視力が落ちます。

前部ぶどう膜炎では、視界の歪みや目の痛みや疼きなど多くの症状が起きやすいです。

後部ぶどう膜炎や中間部ぶどう膜炎では、視界に蚊のような浮遊物が飛んで見える飛蚊症を自覚するパターンもあります。

虹彩や毛様体がひどく炎症を起こすと、目の充血・痛みも見られます。

 

これらの症状は、片眼性・両眼性問わず起こり得ます。

また、発症原因によっては全身症状を伴う事例もあります。

 

炎症が長引くと、白内障や緑内障などの合併症を引き起こすリスクもあるため、注意が必要です。

白内障の症状や治療方法などのより具体的な情報については、こちらの「白内障の症状や見え方、眼内レンズ、日帰り手術の詳細」のページをご覧ください。

また、緑内障に関しての症状や治療方法については、こちらの「緑内障の症状と治療方法」のページをご覧ください。

ぶどう膜炎の発症原因

ぶどう膜炎の発症要因は、免疫異常や細菌・ウイルスへの感染、血液疾患や腫瘍、外傷など多様です。

中でも、サルコイドーシス・ベーチェット病・原田病の3つの免疫異常の難病は、ぶどう膜炎の発症原因の約4割を占めます。

ここでは、それぞれの疾患の特徴を見ていきましょう。

サルコイドーシス

全身のあらゆる臓器に、肉芽腫と呼ばれる細胞と血管の集合組織ができ、炎症や腫れを引き起こす疾患です。

虹彩に肉芽腫ができてぶどう膜炎を発症し、飛蚊症や視力の悪化・リンパ節の腫れなどの自覚症状があらわれます。

50代以降の女性や20代の若年男性に発症しやすいです。

ベーチェット病

全身の皮膚や粘膜、内臓や血管などに発作性の炎症を起こす自己免疫疾患です。

ぶどう膜炎を引き起こし、視力の悪化や白内障・網膜剥離などが合併するリスクが考えられます。

発作が続くと失明の危険性も高まります。

また、眼症状に加えて口内炎や皮膚症状も発生しやすいです。

ベーチェット病によるぶどう膜炎の発症は男性に多く、重症化しやすいと言われます。

原田病

メラニン色素を持つ色素細胞(メラノサイト)が、リンパ球によって破壊される自己免疫疾患です。

ぶどう膜に炎症が起きると、視界のかすみや歪みがあらわれます。

ぶどう膜炎前後には、めまい・耳鳴り・難聴・頭痛、皮膚や毛髪の白化などの自覚症状が出やすいです。

網膜剥離や緑内障・白内障を合併するリスクがあり、入院して集中的な治療を受けることが大事です。

ぶどう膜炎の治療方法

ぶどう膜炎は発症原因が多様であることから、原因に応じた治療が大事です。

まずは炎症を抑え、目に永続的に残る損傷や、視力障害を招く合併症を防ぐことが優先されます。

主にステロイド薬を使用した点眼・点滴・注射・内服治療が行われます。

他にも、炎症の程度や症状に合わせて免疫抑制剤を使用したり、合併症がある際には手術を行ったりします。

ぶどう膜炎は、炎症を慢性的に繰り返すパターンが多く、入院による集中的な治療や長期にわたる通院治療を根気よく続けることが大切です。

発症原因の追求と根本治療がカギ

ぶどう膜炎は、全身にわたる難病や合併症との関係性が深く、不明な点も多い病気です。

ぶどう膜炎が疑われる場合は、精密な検査による発症要因の特定が重要です。

一方で、治療は主にステロイドを用いた対症療法のため、長期化したり、再発を繰り返す事もあります。体調に常日頃から気をつけておき、症状が当てはまる方は、すぐに医療機関を受診しましょう。