色覚異常の原因・症状と治療方法
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目次
色覚異常とは?
色覚異常(しきかくいじょう)とは、その言葉通り、色の感覚に異常がみられる症状のことをいいます。「色覚」とは、色を識別する感覚のことです。
人間は、目の中でも網膜で色を感じ取っています。感じ取れる色は、赤、緑、青の3種類です。
ですが、色覚異常になるとそれぞれの色を識別できなくなり、正常な方と比べて色の区別が付きにくくなってしまいます。
色覚異常では、遺伝ないしは目の障害により人の網膜が感じ取る赤・緑・青の3色を識別しにくい状態となります。
色の識別のしにくさで大きく3種類に分けることができ、主に赤色に対応する細胞の障害を1型色覚、主に緑色に対応する細胞の障害を2型色覚、主に青色に対する細胞の障害を3型色覚と言います。
また症状の強さでも3種類に分類され、全ての色の認識が困難な状態を1色覚、1つの色についての識別が困難な場合を2色覚、全ての色の感じ方が弱い場合には異常3色覚として分類されます。
正常色覚の方とは色の見え方が異なるだけともいえますが、仕事の中には、色による判断などが必要になるものがあります。また、資格の中には、色覚異常だと取得が認められないものもあります。
代表的なものだと、警察や消防、防衛省、自衛隊、航空、船舶などに関する資格です。他にも毒劇物取扱責任者、ふぐ調理師など、さらにはオートレースの選手や審判員なども、色覚異常の程度によって不可とされることがあります。
色覚異常の種類
先天性色覚異常
生まれつき色覚に異常が現れるもので、男女比では男性のほうが多いです。
本人は自身の見え方が正しいと思っているため、異常を認識できていないケースがあります。
2003年度の学校保健法の改正以降、小学校の健康診断の中で色覚検査が行われなかった時期があり、先天性色覚異常と知らずに過ごしている方もおられます。近年は同法が再度改正され、改めて色覚検査の実施が推奨されるようになっています。
一般的には、何らかのタイミングで色覚検査を受けた際に明らかになります。左右差はほぼなく、両目で同じに見えるのが特徴です。
後天性色覚異常
主に目に関する病気が原因で発症する異常です。また、脳の異常や心因性の要因、視覚中枢の加齢変化などが関係していることもあります。
大きな特徴とも言えるのが、青黄異常と赤緑異常が混在する点です。
症状が片目のみのケースや、左右で差がみられるケースもあります。
色覚異常の原因
主な原因は以下の通りです。どちらに該当するかによって原因が異なります。
先天性色覚異常の原因
生まれつき症状がある先天性のケースにおける原因は、遺伝によるものです。
男性に多いのには、性に関係して遺伝することが関係しています。
人間は、XとYの2種類の性染色体によって性別が決定されます。男性ならXY、女性ならXXです。
色覚特性の遺伝子は、X染色体とY染色体のうち、X染色体の上にあります。
女性はX染色体が2つありますが、仮に片方のX染色体が色覚異常の遺伝子を持っていたとしても、もう片方のX染色体が正常であれば、一方が不活性化するのが特徴です。
両方のX染色体が色覚異常の遺伝子では色覚異常になりますが、片方のみなら色覚はほぼ正常で「保因者」とされます。
保因者であれば、正常な方と同様の見え方です。
ですが、男性はX染色体が1つしかないため、そのX染色体が色覚異常の遺伝子を持っていた場合、色覚異常になります。
親と父親から遺伝しやすいのは、父親が正常、母親が保因者のケースです。
親ともに色覚異常の症状は現れないため、子どもに遺伝していることに気づけないことがほとんどといえます。
後天性色覚異常の原因
生まれつきではなく、あとから症状が現れる後天性の場合の原因は、病気によるものです。
具体的には、白内障、緑内障、糖尿病、網膜色素変性、中心性漿液性網脈絡膜症、原田病、加齢黄斑変性、球後視神経炎、脳梗塞、脳腫瘍などが挙げられます。
もともとの状態とは色の見え方が異なるようになるので、色覚に異常が起こっていることを自覚する方が多いです。
色覚異常の症状
個人差はありますが、以下のような症状が現れます。
症状1:異なる色の判別ができない
先天性色覚異常の場合、全く異なる色の組み合わせが以下のような形で非常に似た色に見えてしまいます。
先天性色覚異常で判断しにくい色
- 赤と緑・黒
- ピンクと白・灰色・水色
- 橙色と黄緑
- 茶色と緑
- 緑色と灰色・黒
- 青と紫
例えば、赤と緑の判別ができないため、熟したトマトと熟す前のトマトが同じに見えることがあります。
また、赤と黒の判別が付きづらいことから、カレンダーを見た際に赤色で表示されている休日・祝日が見分けられないことも多いです。
それから「止まれ」の道路標識は注意を促すため目につきやすい赤色が採用されていますが、色覚異常だと黒く見えてしまうことがあります。
黒は見落としやすい色とも言えるため、注意しなければなりません。
同様に赤信号のほか、何らかの異常を示す警告ランプなども赤であるケースが多く、見落とす可能性があります。
症状2:正常とは異なる色に見える
後天性色覚異常の場合は、ある色が全く異なって見えることがあります。代表的なものとしては、以下のようなものです。
後天性色覚異常の見え方
- 黄…白
- 緑…青・黒
- 茶…黒・紫
- 青…黒
- 紫…黒・青
どの程度違って見えるかは個人差が大きいです。ほんの少しだけ違って見える方もいれば、はっきりと違う色に見える方もいます。
色覚異常の治療方法
治療可能かは、先天性か、後天性かによって異なります。
先天性色覚異常の治療
残念ながら、先天性色覚異常は現代の技術では治せません。治療をするのではなく、現状の見え方と実際の色の違いについて理解を深めていくことが重要です。
先天性色覚異常といっても、すべての色が対象となるわけではありません。
その他視機能には問題がないケースがほとんどです。
自身にとっての色覚の特性を十分に理解し、周りのサポートも受けながら生活していく必要があります。
可能性を疑っているのであれば、検査を受けるのがおすすめです。その検査の中でどのような色覚の癖があるのかわかるようになります。
どのような場面で間違いやすいのか、注意すべきなのかを考え、対策をとっておくことも可能です。
なお、前述したように色覚異常があると選択できない職業があります。
職業選択の前に自分が目指している職業は色覚異常があっても問題ないか確認が必要です。
後天性色覚異常の治療
生まれつきの症状である後天性色覚異常は、何らかの病気を発症した際に症状が現れることがあるため、基本的な治療は原因となっている病気の治療です。
白内障が原因の場合は白内障の治療を、大脳疾患が原因であれば大脳疾患の治療を行います。
また、心因性要因が関係して後天性色覚異常を発症することもあるため、ストレス解消などが治療につながることも多いです。
まずは原因となっている病気を明確にし、治療について検討する必要があります。専門医である眼科で相談してみてください。
まずは眼科に相談
色覚異常について種類や特徴、原因などについて紹介しました。見た目ではわからないため、周りから理解してもらえず、苦しい思いをすることもあります。
自分の見え方の特徴や癖を理解することにより効果的な対策を考えられることもあるため、まずは眼科で相談してみるのがおすすめです。
田村眼科でも詳しい検査が可能なので、ご相談ください。
当院では、高度な専門性を有する医療スタッフによる医療の提供を通じて、白内障を主体としつつ数多くの目の病気への治療に対応しております。
特に白内障の日帰り手術に注力しており、多焦点眼内レンズも豊富に取り扱っております。その他硝子体、眼瞼下垂、涙道、緑内障等の治療についても日帰り手術が可能です。
また、明石市のみならず近隣地域(神戸市西区、神戸市垂水区、淡路市等)にお住まいの患者さんからも多くの治療のお問い合わせをいただいております。