ものもらい
21EYE DISEASE

目次
ものもらいとは?
ものもらいとは、細菌感染の炎症により瞼が腫れる急性化膿性炎症です。
正式名称では「麦粒腫(ばくりゅうしゅ)」と呼ばれます。
地域により「めばちこ」「めばち」「めいぼ」「めぼ」などと呼ばれることもあります。
ものもらいは感染が起きた部位により、「外麦粒腫」と「内麦粒腫」の2種類に分類されます。
外麦粒腫は睫毛の毛根や汗腺への感染、内麦粒腫は瞼の裏で脂質を分泌しているマイボーム腺への感染です。
ものもらいは目薬や軟膏等を使用して比較的軽症なまま完治することもありますが、放置すると症状が長引いたり、重症化したりすることも考えられます。
特に内麦粒腫は自然回復することが少なく、再発リスクが高い疾患なので必ず眼科にて治療を受けてください。
眼科での治療を受けて処方された薬を正しく使用すれば、比較的簡単に完治させられる疾患です。
ものもらいのように小さな腫れ物ができる「霰粒腫(さんりゅうしゅ)」をものもらいと呼ぶ方もいます。
しかし霰粒腫は細菌感染によるものではなく、脂腺の詰まりによりしこりが生じる別の疾患です。
以上のようにものもらいとは細菌感染による瞼の腫れのことを指しますが、周囲の人に伝染はしません。

ものもらいの原因
ものもらいの原因は主に2つです。
原因1:ブドウ球菌の感染
ものもらいの主な原因とは、ブドウ球菌による感染です。
黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌など、日常生活の中に存在するありふれたブドウ球菌に感染することで発症します。
原因となるブドウ球菌は人間の体に存在しており、喉・鼻・皮膚・毛髪・腸管などに分布する常在菌です。
そのため通常であれば感染することはありません。
しかし眼に小さな傷が生じていたり、抵抗力が低下していたりすると感染しやすくなります。
感染リスクを高める行為として、次のようなものが挙げられます。
【ものもらいの感染リスクを高める行為】- 瞼の不衛生
- 汚れた手での眼への接触
- コンタクトレンズの汚染
- 体調不良
- ストレス
- 過度の飲酒
ものもらいの原因となり得る行為を見ると、不衛生なものを眼に接触させることと体調によるところが大きいことがわかります。
体調不良やストレス過多な状態にあるとき、アルコールを過度に摂取したときは免疫力が下がるためブドウ球菌に感染しやすくなります。
原因2:疾患
糖尿病など別の疾患がものもらいの原因となることもあります。
別の疾患により感染症のリスクが高まることに比例して、ものもらいの発症確率も増えるためです。
糖尿病では免疫機能に関する細胞機能が低下することから、病原菌への感染リスクが高まります[1]。
その他の疾患でも感染症への抵抗力が弱まることがあります。
もしものもらいを何回も繰り返しているようであれば、他の疾患が原因となっていることも考えられます。
医師に相談をし、検査を受けられることをおすすめします。
ものもらいの症状
ものもらいでは進行に従って次のような症状が現れます。
症状1:瞼の赤みと軽度の痛み・かゆみ
ものもらいの初期症状では、瞼の赤みとともに、軽度の痛みとかゆみが現れます。
瞼の縁が赤くなって手で触れると痛むことが多いですが、特に触れなくても痛むこともあります。
まばたきをしたときに眼の痛みを感じることで気づく方も多くいらっしゃいます。
初期段階ではまだ瞼の腫れは感じられず、ただ赤みとともに痛み・かゆみがあることが特徴です。
症状2:瞼の腫れと痛み
初期段階を過ぎると、瞼に小さな腫れが現れて痛みが生じます。
感染による炎症は軽微であり、腫れも小さな吹き出物ができたと感じる程度であることがほとんどです。
腫れ物は手で触れると痛みが感じられます。
症状3:充血・異物感・目やに・眩しさ・涙
瞼に腫れ物が生じた段階で、充血・異物感・目やに・眩しさ・涙などの症状が現れることもあります。
光をいつもより眩しく感じたり、眼に異物が入ったかのような感覚などの違和感が現れます。
涙目になったり、目やにが多く排出されたりする症状が見られることも少なくありません。
また眼への違和感とともに、瞼の一部分だけに生じていた腫れが全体に広がる場合もあります。
症状4:炎症部分の化膿と強い痛み・かゆみ
ものもらいの症状が進行すると、炎症部分の化膿が悪化し、強い痛みやかゆみが生じるようになります。
瞼の腫れや赤みもともに悪化し、患者さんにとっては最もつらい段階です。
ただしものもらいは2~4日程度で回復に向かうため、強い炎症や痛みが長く続くことはありません。
また早めに治療を開始した場合は、点眼薬や眼軟膏によりブドウ球菌の働きが抑えられ、化膿する前に回復するケースも見られます。
化膿がなければより早く軽快に向かうでしょう。
症状5:膿の排出
炎症部分の化膿がさらに進行すると、ものもらいができたところの皮膚が破れて膿が排出されます。
膿が排出された後は、痛みは和らぎ回復へと向かいます。
ただし内麦粒腫では自然に皮膚が破れ、膿が排出されるケースはほとんどありません。
後の治療に関する項目で解説しますが、治療による外科的な排出が必要となります。
稀に針などを使い、膿の排出をご自身でされようとする方がおられるようです。
しかしご自身での穿孔は危険ですので絶対にやめてください。
別の感染症に罹患するリスクもあるので、必ず眼科を受診して、医師による治療として排出させなければなりません。
症状6:発熱・悪寒
ものもらいの症状が深刻になると、炎症や眼の違和感、痛み・かゆみなどの基本的な症状に発熱や悪寒が伴うこともあります。
発熱や悪寒にまで症状が発展することは少ないですが、内麦粒腫の場合はあり得ます。
ものもらいの症状は全体的に外麦粒腫より内麦粒腫の方で強く現れ、炎症も悪化しやすいためです。
内麦粒腫である場合は発熱や悪寒などの症状への重症化を防ぐために、早期に治療を始められることをおすすめします。
ものもらいの治療方法
ものもらいの治療法は点眼薬や眼軟膏が基本ですが、効果が見られない場合はその他の治療を検討することもあります。
治療法1:点眼薬・眼軟膏
ものもらいの基本的な治療法は、抗生物質を含む点眼薬や眼軟膏の使用です。
多くの場合で、点眼薬や眼軟膏を使用すると短期間のうちに症状が緩和されます。
ものもらいは治療を行わなくても自然回復する疾患であるため、点眼薬や眼軟膏だけでも十分に効果が現れます。
治療法2:内服薬
ものもらいの治療薬として、内服薬が処方されることもあります。
内服薬が処方されるのは、点眼薬や眼軟膏による治療で改善が見られない場合です。
また眼の周辺で別の感染が生じたり、内麦粒腫の手術後に感染が起きた場合にも処方されます。
ただし抗菌薬や抗炎症作用を持つ内服薬は、症状の緩和を目指すのが一般的な用途です。
治療法3:患部切開
ものもらいの治療では、炎症が生じている患部の切開も行われます。
腫れや炎症が重症化し、薬物療法による改善が期待できない場合に用いられる治療法です。
また内麦粒腫は自然に皮膚が破れて膿が排出されることが少ないため、患部切開の確率は高くなります。
膿の量が増えると皮膚が薄くなるため、切開により膿を排出させ早期完治を目指します。
切開ではなく、注射針で患部を穿孔する治療が選択されることも少なくありません。
炎症が長引いた場合は、患部切開による治療も検討されます。
治療法4:手術
手術はものもらいが回復した後の、しこりの切除のための治療法です。
膿が排出された後に、稀にしこりが残ることがあります。
小さなものであれば問題ありませんが、大きい場合は切除手術により除去します。
しこりはものもらいの症状が重症化した場合に形成されやすくなる傾向があります。
早めに治療を始めれば症状の重症化を防ぐことが出来ますので、切除手術を避けるためにも眼科の受診をおすすめします。
気になる方は眼科に相談
ものもらいはほとんどの場合で自然回復されますが、重症化する前に治療を受けることで症状が軽減されます。
当院では、高度な専門性を有する医療スタッフによる医療の提供を通じて、白内障を主体としつつ数多くの目の病気への治療に対応しております。
特に白内障の日帰り手術に注力しており、多焦点眼内レンズも豊富に取り扱っております。その他硝子体、眼瞼下垂、涙道、緑内障等の治療についても日帰り手術が可能です。
また、明石市のみならず近隣地域(神戸市西区、神戸市垂水区、淡路市等)にお住まいの患者さんからも多くの治療のお問い合わせをいただいております。
目の病気にお悩みの方や、治療をご検討中の方はぜひ一度兵庫県明石市の田村眼科までご来院ください。