内反症・外反症
19EYE DISEASE
目次
内反症・外反症とは?
内反症とは瞼が内側に巻き込まれている状態のことで、外反症とは反対に瞼が外側にめくれている状態のことです。
いずれも、瞼が正常ではない状態になる疾患です。
内反症には2種類あり、睫毛内反症と、眼瞼性内反症とに分けられます。
睫毛内反症とはいわゆる「逆さまつげ」のことで、必ずしも瞼が内側に巻き込まれているとは限りません。睫毛の毛根が内側を向いていることで生じる場合もあります。
眼瞼性内反症は、睫毛の毛根ではなく、瞼自体が内側に向いてしまう状態のことです。
一方、外反症には種類はなく、一律で瞼の縁が外側にめくれます。
このように、内反症・外反症には一部例外もあるものの、瞼が内側もしくは外側にめくれることを指します。
逆さまつげ
逆さまつげとは、まつげが通常とは反対側である内側、眼球に向かって生えている状態のことです。
本来、まつげは眼球とは反対側である外側を向いて生えています。
しかし、逆さまつげになるとまつげが眼球に触れ、傷をつけてしまうことがあります。
まつげに細菌がついている場合は、眼球が細菌感染するリスクもあり注意が必要です。
逆さまつげには、3つの種類があります。
まぶたが眼球側を向く眼瞼内反(がんけんないはん)、まつげが目に向かって押し出される睫毛内反(しょうもうないはん)、まつげの生え方が不規則になって内側に向いてしまう睫毛乱生(しょうもうらんせい)です。
眼瞼内反、睫毛内反の原因や治療法の詳細については後述します。
睫毛乱生の原因は、まつげが生えている毛根の周囲に炎症が起こったり、傷を負ったりしたこと等が挙げられます。
まぶたの位置は正常であるものの、一部のまつげのみが眼球側を向く症状です。
特に高齢者に多く、睫毛内反から睫毛乱生に変化することも珍しくありません。
また、その他の逆さまつげの症状と混在することもあります。
内反症・外反症の原因
内反症・外反症とは、それぞれ次のような異なる原因により引き起こされます。
睫毛内反症の原因:瞼周辺の皮膚や脂肪の過剰
逆さまつげと呼ばれる睫毛内反症の原因は、主に瞼周辺の皮膚や脂肪が過剰であることや、睫毛の毛根が内側に向いていることです。
正常な瞼であっても、例えば周辺の皮膚や脂肪が過剰になることで睫毛を眼球のほうへと押しやってしまうことがあります。
先天的に睫毛の毛根が内側に向いている場合は、生まれつきの睫毛内反症とされます。
後天的な原因としては、事故などによってまぶた付近に外傷を負った場合や、粘膜・甲状腺の疾患などが挙げられます。
眼瞼内反症の原因1:加齢による組織・筋肉のゆるみ
眼瞼内反症は、加齢による瞼周辺組織や筋肉のゆるみにより引き起こされます。
瞼を正常な状態で支えるためには、組織や筋肉にたるみがないことが条件となります。
しかし加齢により組織や筋肉にたるみ・ゆるみが生じてくると、次第に瞼を支えられなくなります。
余剰な逆さまつげを抜く事でも一時的に症状が改善しますが、根本的な治療をしなければまた眼球の方に向いた睫毛が生えてきます。
そのため、必要に応じて下瞼にある軟骨の切除や筋肉の縫合などの治療を検討する事となります。
眼瞼内反症の原因2:先天性
加齢ではなく先天的に眼瞼内反となっている場合もあります。
先天性の場合は、生まれたときから瞼が眼球のほうに向いています。
成長するに従って改善されることも少なくありませんが、11~12歳になっても改善されないこともあります。
成長しても症状が緩和されない場合は、症状に応じて手術を検討します。
外反症の原因:顔面神経麻痺・手術の瘢痕
外反症は内反症とは違い、外的要因が原因で引き起こされることがあります。
加齢による組織のゆるみが原因となることもありますが、第7脳の神経麻痺や外傷、手術の瘢痕により外反症を発症することが少なくありません。
また、顔面に外傷が起きると、皮膚のひきつれが起こり外反症になることがあります。
内反症同様に加齢が原因で起こることもありますが、外傷や顔面神経麻痺等により引き起こされる可能性が高いことが内反症との違いです。
内反症・外反症の症状
内反症・外反症とはどのような症状を引き起こすのか、それぞれについて詳しく解説します。
内反症の症状
内反症では次のような症状が代表的です。
【症状】- 目の異物感
- 目の痛み
- 目やに
- 流涙
- 充血
- 乱視
- 角膜の濁り
内反症では、瞼が内側に向くとともに睫毛が眼球に触れて角膜に傷がつくことから、目の異物感や痛みなどを自覚します。
また、涙や目やにの量が多くなったり、充血が続いたりすることも見られます。
角膜の損傷が繰り返されると、角膜が歪んで乱視になったり、角膜が濁ったりする症状が現れることもあります。
外反症の症状
外反症では次のような症状が見られます。
【症状】- 流涙
- ドライアイ
- 充血
- 角膜損傷
外反症では涙の排出量が多くなる症状が現れます。
また、瞬きをしても完全に目を閉じられなくなり、乾燥により角膜に傷がつくことから、ドライアイ・充血などが起こることもあります。
症状が進行すると充血が酷くなり、「兎眼」と呼ばれる状態になることもあります。
兎眼になると角膜の濁りや視力低下など、副次的な症状が見られる事も少なくありません。
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内反症・外反症の治療方法
内反症と外反症の治療方法は主に切開手術となります。
軽度内反症の治療方法
軽度の内反症であれば、経過観察を行います。
角膜を保護するための点眼薬を処方し、逆さ睫毛による眼球の損傷などがあれば、定期的に原因となる睫毛を抜去します。
学童期の軽度内反症では、手術を避けるため経過観察となるケースが多くみられます。
内反症の治療方法1:皮膚切開法
内反症の治療は、主に皮膚切開法による手術で行われます
皮膚切開法とは瞼の皮膚と筋肉を切除し、瞼板に縫合する手術のことです。
皮膚切開法による内反症の治療は再発の可能性が低く、総じて高い効果が認められます。
局所麻酔による日帰り手術により実施可能で、治療が長引くことはあまりありません。
内反症の治療方法2:縫合法
内反症の治療には縫合法という方法もあります。
縫合法とは切開を伴わない手術であり、瞼の上から数箇所を糸で縫合する治療法のことで、埋没法とも呼ばれます。
術後の回復が早く、手術時間が短いことがメリットとなります。
しかし、皮膚切開法とは異なり、再発する可能性が高く適応できる症例が限られます。
コンタクトレンズを使用したり、目をこすったりすることで手術の効果が認められなくなる可能性もあります。
また、埋没糸が露出することによる見た目の問題や、感染症のリスクが高まることもデメリットです。
内反症の治療方法3:眼瞼下制筋前転法
内反症の治療方法として、眼瞼下制筋前転法という治療方法もあります。
当院でも施行しておりますので、詳細は上記治療法を含め直接ご相談下さい。
軽度外反症の治療方法
外反症が軽度である場合は、内反症と同様に経過観察となることもあります。
人工涙液や潤滑剤を含む軟膏を処方し、眼球の乾燥を防ぎながら様子を見ます。
軟膏は眼球の乾燥を防ぐだけでなく、外的刺激から目を守る効果も発揮します。
そのため軟膏の塗布だけで症状が和らぐこともあるでしょう。
ただし外反により角膜潰瘍など眼球への損傷が生じる可能性がある場合は、視力低下を防ぐために手術による治療を検討します。
外反症で経過観察となるのは、あくまでも症状が軽度であり眼球への悪影響が見られない場合です。
外反症の治療方法
外反症の治療では切開手術が基本です。
症状が進行している場合は水平眼瞼短縮術で下瞼の一部分を切除し、皮膚を少なくすることで外側へのめくれを改善させます。
切除する範囲や量、位置は症状により変わりますが、いずれにしても術創部の痛みは軽度です。
抜糸は一通常1~2週間後に行われ、術後の腫れも時間と共に少しずつ治まっていきます。
逆さまつげの治療方法
基本的に症状が軽く日常生活に何も問題がないような場合、治療は行わないこともあります。
必要に応じて点眼や軟膏の処方、睫毛抜去等の対処療法が中心となります。
代表的な治療法について紹介します。
治療法1:点眼薬
もし症状が軽くても、まつげが眼球に触れている場合は角膜を保護するための点眼薬や、抗生物質を使うことがあります。
また、眼球に傷が発生した場合、ヒアルロン酸の目薬が処方されることもあります。
特に小さな子どもの場合、重症のケースを除いて基本的に学童期までの間に外科的な治療を行うことはあまりありません。
治療法2:まつげを抜く
眼球に触れているまつげを抜き、症状を和らげる方法です。
まつげが伸びてくると結局再発してしまうため、定期的に通院しなければなりません。
まつげを抜く際、基本的に麻酔などは行わず抜くことになります。そのため、軽度ではありますが痛みを生じます。また、稀に逆さまつげの本数が多い場合、抜いた部分が目立つこともあります。
中には自身でまつげを抜いたり、切ったりして対応している方もおられますが、感染症を引き起こす可能性があることや、誤ってまぶた・目を傷付けてしまう可能性があることから推奨されません。
また、眼瞼内反でまぶたが眼球側を向いている症状の場合、まつげを抜くと症状が悪化することもあります。
抜いたまつげが伸び始めた段階から目の表面に当たるようになり、角膜を傷付けてしまうこともあります。
治療法3:手術
手術によってまつげの位置を調整する方法です。
例えばまぶたを少し上向きに調整すると、物理的にまつげが目に入らなくなります。
当院ではあくまで視機能の改善を目的とした、眼瞼内反症手術や、眼瞼下垂症手術を施行しています。美容目的では行っておりません。
症状がひどい場合は手術が必要
内反症・外反症とはどのような疾患か、原因や症状、治療方法がご理解いただけたと思います。
内反症・外反症ともに症状がひどい場合には手術が必要ですので、悪化する前に眼科を受診して検診を受けてください。
また逆さまつげについても、軽度でほとんど症状がない場合は点眼薬で様子を見ても良いのですが、不快な症状がある場合は根本的な原因解決をおすすめします。
どのような治療法が自身に適しているのかわからず悩んでいるのであれば、田村眼科までご相談ください。
当院では、高度な専門性を有する医療スタッフによる医療の提供を通じて、白内障を主体としつつ数多くの目の病気への治療に対応しております。
特に白内障の日帰り手術に注力しており、多焦点眼内レンズも豊富に取り扱っております。その他硝子体、眼瞼下垂、涙道、緑内障等の治療についても日帰り手術が可能です。
また、明石市のみならず近隣地域(神戸市西区、神戸市垂水区、淡路市等)にお住まいの患者さんからも多くの治療のお問い合わせをいただいております。
目の病気にお悩みの方や、治療をご検討中の方はぜひ一度兵庫県明石市の田村眼科までご来院ください。