網膜静脈閉塞症
17EYE DISEASE
目次
網膜静脈閉塞症とは?
網膜静脈閉塞症とは、網膜の静脈がふさがったことにより、血管が詰まり、正常に血液が流れなくなる病気です。血管がむくむだけでなく、症状悪化時は出血してしまう恐れもあります。
網膜は目に入る光を電気信号へと変換し、脳に送る重要な役割を持っている部分です。そのため、網膜部分に出血が広がった場合、視力障害が起こります。
年配の方に起こりやすい疾患であり、高齢になるほどリスクが高まります。特に50歳以上は注意しなければなりません。
大きく分けると、以下2種類に分類されます。
網膜静脈分枝閉塞症
網膜内部で静脈がふさがってしまう病気です。網膜内の動脈と静脈が交わっている部分は同じ血管の外膜を使っているのですが、動脈硬化が起こった場合、静脈も影響を受けます。
その結果、血栓が形成されることにより血流が途絶え、症状を引き起こします。
出血する範囲が広くなるほど状態は悪くなっていきますが、狭い範囲のみの出血だった場合は気づけないケースもあります。
網膜中心静脈閉塞症
視神経内で血管がふさがることによって生じる病気のことをいいます。網膜中心動脈と接している網膜中心静脈と呼ばれる部分が動脈硬化の影響を受けて引き起こされる病気です。
静脈の根元がふさがった場合、視力障害が起こります。網膜静脈分枝閉塞症と比較すると、比較的若い方に起こりやすい疾患です。
網膜静脈閉塞症の原因
主な原因について3つ解説します。
原因1:動脈硬化
主な原因の1つ目は、血栓が形成されることによって網膜に通っている静脈がふさがってしまうことにあります。
その血栓の形成を引き起こすのは、動脈硬化です。
動脈硬化とは、弾力があるはずの血管が硬くなっている状態のことをいいます。ほとんど自覚症状はありませんが、突然、脳卒中のほか、心筋梗塞などを引き起こす非常に危険な状態です。
動脈硬化の原因となるのは、糖尿病や高血圧、脂質異常などです。善玉コレステロールが少なく、悪玉コレステロールの数値が高い方もリスクが高まります。
これらに該当する方は動脈硬化や網膜静脈閉塞症のリスクも高いといえるため、注意しなければなりません。
原因2:血液に関連する病気
血液の粘度が高くなる病気になってしまうと、血管がふさがるリスクがあります。
例えば、白血病や多血症などが挙げられます。その他、上述のように生活習慣によって血液の粘度が高くなることもあります。
原因3:血管の炎症
血管の炎症も原因の一つです。
血管の炎症を引き起こす原因はさまざまですが、感染症や薬などの影響のほか、原因不明のケースもあります。
網膜静脈閉塞症の症状
主な症状は以下の4つです。各症状の現れ方は個人差があります。
症状1:視力低下
視力と関係が深い網膜に出血が広がり機能障害が起こると、視力低下が見られることがあります。
網膜の中央には、視力を大きく左右する黄斑と呼ばれる部分があります。この黄斑に出血や浮腫が見られる場合に特に視力への影響が大きく、重い視力障害につながることも少なくありません。
一度低下してしまった視力を回復するのは難しいことがあります。少しでも不安なことがあったり、気になる症状がある場合は早期に検査を受けたほうが良いでしょう。
症状2:部分的に黒く見える
出血している部分が黒く見えてしまうのも、代表的な症状です。正常な状態とは明らかに見え方が異なるため、こういった自覚症状がある場合は早期に眼科の受診と治療が必要です。
見えない箇所が部分的だったとしても、放置する事は好ましくありません。
症状3:視野が欠ける
出血が広がっている部分は、視野の欠陥がみられます。しかし、視野欠損が中央付近ではなく視野の外側周辺だった場合、自分では気づけないことがあります。
見え方は少しずつ変化していくためその状況に慣れてしまったり、特に片眼だけの症状であれば、両眼視していると気付きにくいため特に注意が必要です。
症状4:目がかすむ
目がかすむ症状が強く出ることがあります。疲れなどの可能性もありますが、網膜静脈閉塞症の可能性も疑われますので一度眼科を受診することをおすすめします。
網膜静脈閉塞症の治療方法
以下、代表的な治療方法を解説します。
治療方法1:網膜光凝固術
網膜光凝固術では、レーザー治療で網膜の出血や浮腫の吸収促進をはかります。治療前には散瞳剤点眼で瞳孔を大きく開いてから、点眼による麻酔を行います。
治療は専用のコンタクトレンズを用いて行い、レーザーの所要時間は10~15分程度です。入院をする必要はなく、日帰りでの実施が可能です。麻酔が効いているのでさほど痛みはありませんが、感じ方は個人差があるため、不安があればお申し出ください。
症状が出ている範囲に合わせて治療が行われますが、網膜全体の治療が必要な場合、一日で終えるのは難しいことがあります。その場合、数日に分けて行われます。
なお、散瞳後は4~5時間程度は見えづらくなります。そのため、自分で車などを運転して帰宅することはできません。送迎もしくは公共交通機関のご利用をお願いします。
治療方法2:硝子体内注射
黄斑浮腫が発生している場合に行われる治療法です。網膜静脈閉塞症では、血管がふさがることにより酸素の供給が滞ります。これを補うため、新生血管と呼ばれるものが伸展してくることがあります。
新生血管は通常の血管よりも弱く、合併症などを引き起こす原因の一つとなります。
硝子体内注射では、新生血管の発生を抑える薬剤などを投与します。
治療方法3:硝子体手術
硝子体手術とは、眼球の内部にあるゲル状の硝子体を取り除く手術です。黄斑浮腫が発生している場合や、硝子体出血などの合併症を治療する目的で行われます。
局所麻酔を行ってから白目の部分に非常に小さな穴を開け、そこから専用の細い器具を挿入し、硝子体の切除や網膜の治療をする手術です。
硝子体手術の具体的な内容については、こちらの「硝子体手術の内容と注意点」のページをご覧ください。
治療方法4:閉塞箇所の血管の治療
急性期にあたる時期では、血管の血流を再開させるため、ふさがっている部分を改善する処置が行われます。
この際、主に使われるのは、血管強化薬や網膜循環改善薬などです。
これらの薬のみで改善できた場合、大掛かりな手術を行わなくて済むため、早期の治療が理想的だといえます。
治療方法5:動脈硬化の改善
大きな原因は動脈硬化であるため、血管が本来の弾力を取り戻せるよう生活習慣の改善などが必要です。煙草に含まれるニコチンやタール、一酸化炭素はリスクを高めます。
そのため、まずは禁煙に努めましょう。適正体重の維持や血糖値・血圧の改善なども重要です。
不安な場合はなるべく早めに受診しましょう
網膜静脈閉塞症の特徴や原因などについて紹介しました。症状や原因疾患等について、あてはまるものがある場合は一度眼科を受診されることをおすすめします。
当院では、高度な専門性を有する医療スタッフによる医療の提供を通じて、白内障を主体としつつ数多くの目の病気への治療に対応しております。
特に白内障の日帰り手術に注力しており、多焦点眼内レンズも豊富に取り扱っております。その他硝子体、眼瞼下垂、涙道、緑内障等の治療についても日帰り手術が可能です。
また、明石市のみならず近隣地域(神戸市西区、神戸市垂水区、淡路市等)にお住まいの患者さんからも多くの治療のお問い合わせをいただいております。
目の病気にお悩みの方や、治療をご検討中の方はぜひ一度兵庫県明石市の田村眼科までご来院ください。