先天性鼻涙管閉塞症
26EYE DISEASE
目次
先天性鼻涙管閉塞症の原因・症状、治療法について解説します。
先天性鼻涙管閉塞症とは?
先天性鼻涙管閉塞症(せんてんせいびるいかんへいそくしょう)とは、本来であれば目と鼻をつないでいる鼻涙管(びるいかん)が、狭くなったりふさがったりして、涙が目にとどまった状態になる疾患です。
涙は、目頭にある涙点という孔から、涙小管、涙が溜まる涙嚢、鼻涙管、を通って目から鼻の方へ流れていきます。
しかし、何らかの理由によって涙が鼻涙管を流れない状態になると、涙が溜まり続けて症状が現れます。
先天性鼻涙管閉塞症の原因
先天性鼻涙管閉塞症は、生まれつき鼻涙管が鼻腔と繋がっていないために起こります。一方、後天性の場合では外傷や腫瘍、医原性などの理由も挙げられます。
胎児の段階では、涙の通り道である鼻涙管と鼻腔は繋がっていません。通常は発達とともに繋がっていくことになりますが、鼻涙管と鼻腔が繋がることなく生まれた場合、先天鼻涙管閉塞とされます。
なお、鼻涙管と鼻腔が繋がることなく生まれる原因は、はっきりと解明されている訳ではありません。
先天性鼻涙管閉塞症の症状
代表的な症状は、以下の通りです。
症状1:流涙
涙の通り道がふさがれて涙が排出されなくなるため、常に涙目の状態になりやすく、涙が溜まって溢れてしまう事もあります。
ご家族等が、お子さんが常に涙を浮かべているように見える事に気付かれて眼科を受診される、といったケースも見受けられます。
症状2:目やに
先天性鼻涙管閉塞症では、生まれた直後から涙や目やにが多いように感じられることがあります。
涙が正しく鼻に流れないと、細菌が繁殖しやすくなるために目やにが生成されてしまいます。ふき取ってもまたすぐに溜まることが多いです。
寝ている間に作られる目やにの量が多いと、まぶたがくっついてしまい、症状がひどい場合には目が開かなくなることもあります。
症状3:涙嚢炎
涙嚢炎(るいのうえん)とは、涙が溜まることによって細菌が繁殖し、鼻涙管が細菌感染を起こす病気です。
先天性鼻涙管閉塞症の合併症としても現れることがあります。
まぶたやその周辺がひどく腫れたり、粘液や膿が含まれる涙が出たりする事が代表的な症状です。
また、目やにが大量に作られやすくなります。
症状4:眼窩蜂窩織炎
眼窩蜂窩織炎(がんかほうかしきえん)とは、眼球が入っている頭骨前面の穴である眼窩内、およびその周囲・後方の組織が細菌感染することによって発生する疾患です。
先天性鼻涙管閉塞症によって涙が溜まり、細菌が繁殖しやすい状態になると、眼窩蜂窩織炎のリスクが高まります。
代表的な症状は、痛みや腫れ、発熱などです。他にも目が赤くなったり、視覚障害、眼球の突出、眼球運動の障害などが起こったりすることもあります。
適切な治療を行わず重症化した場合、失明に繋がる恐れもあり、注意が必要です。
先天性鼻涙管閉塞症の治療方法
先天性鼻涙管閉塞症になった場合、以下のような治療が行われます。
治療法1:涙嚢マッサージ
まずは、点眼治療と涙嚢マッサージによる治療から始める事が一般的です。
点眼後に涙嚢のマッサージを行うことにより、閉塞部が開通することもあります。適切な回数や強さで行うことが大切ですので、医師の指示によく従いましょう。
治療法2:鼻涙管開放術
点眼治療と涙嚢マッサージを行ったものの、症状が改善しないようなケースでは、ブジー針による鼻涙管開放術を行うことがあります。
治療法3:手術
鼻涙管開放術でも効果が得られない場合、手術が検討されることもあります。
異常を感じたらまずは相談を
先天性鼻涙管閉塞症の原因や症状、治療法について解説しました。
小さいお子さんは、自分から不調を伝えることはなかなか出来ないため、気づきが遅れてしまうことがあります。しかし、涙が溜まる、目やにが多いなどのわかりやすい症状があれば、まずは眼科を受診し診断を受けましょう。
当院でも診察させて頂きますが、積極的な治療が必要なケースなど、症状によっては適切な専門機関へ紹介させて頂きます。