白内障の放置リスク
目の中でレンズの役割を果たす水晶体が濁ってしまう病気である白内障は、手術による治療は可能ですが、一方で手術は受けたくないと仰る患者様もおられます。
かなり症状が進んだ状態でも手術をすれば視力を取り戻る病気ですが、放置するとさまざまなリスクが発生し、最悪の場合、失明の危険性も生じます。
本記事では、放置した場合にどのようなリスクが起きるかを解説していきます。
手術を躊躇されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
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目次
白内障を放置するとどうなるか
白内障は80歳以上の日本人ならほぼ100%発症するといわれ、誰にとっても起こる可能性のある病気です。
そして手術を受けずに放置していると、以下のようなリスクが生じる可能性があります。
水晶体が溶けてぶどう膜炎を引き起こす
放置して症状が進んでしまうと、水晶体が溶けだし、水晶体融解性ぶどう膜炎と呼ばれる炎症を起こします。
白内障の症状がひどくなると、やがて、水晶体皮質が溶けてしまい、強い痛みや充血といった症状を伴うひどい炎症を引き起こします。
悪化した場合は緊急手術が必要です。
このままだと水晶体が漏れだすと考えられるときにも緊急で手術を行います。
ただ、水晶体の融解が起きるほど悪化するほど手術が難しくなります。
手術の際、表面を切ったときに、内部の水晶体の漏洩によって術野が見えない状態になりなる可能性があります。
また、手術をしても、混濁や癒着といった後遺症が残ってしまうことがあり、完全に治療できるとは限りません。
緑内障発作を引き起こす可能性
放置すると症状の進行とともに水晶体が膨らみ、眼圧を上昇させることで急性緑内障発作が起きるケースが考えられます。
膨らんだ水晶体は、眼球の色がついている部分である虹彩を後ろから圧迫し、眼球内の水である房水を排出する隅角と呼ばれる部分の口を狭くしてしまいます。
排出口が完全にふさがってしまうと、急激に眼圧が上昇し、緑内障発作を起こします。
頭痛や目の痛み、吐き気などの症状が生じ、視野の一部が欠けてしまう視野欠損やひどいときには失明の恐れもあります。
緊急手術が必要ですが、欠けてしまった視野は元には戻らず、術後も生涯にわたって緑内障管理の検査や治療を受けなければならない場合もあります。
手術の際に度数測定が正確にできない
症状が進むと、眼内レンズを作る際、度数を決めるときの眼軸長の正確な測定が難しくなります。
白内障手術では、水晶体を眼内レンズに置き換えます。
レンズの度数を決めるためには、角膜の頂点から網膜までの距離である眼軸長の測定が必要です。
正確とされるのはレーザー光による光学式測定ですが、症状が進んだ後では光が通りにくくなるので、測定の正確性が失われます。
代わりに超音波による測定を行いますが、レーザーと比べると誤差が生まれる可能性が高くなります。
白内障と失明の相関性
日本での失明率は3%程度で、失明の可能性は極めて低いといえます。
しかし、世界的には失明の原因第1位に上げられています。
白内障による失明の多くは医療インフラが未整備で適切な治療が受けられない国で起きています。
時間とともに症状が進んでいくため、手術による治療が必要なのですが、こうした国では放置せざるをえないため末期症状へと達し、結果、失明に至ります。
医療インフラの整っている国では失明する割合は低くなり、日本のような国で失明するのは、放置したケースがほとんどとされ、早期に治療した場合には失明のリスクはほとんどありません。
年齢によって水晶体が硬くなる
水晶体は加齢現象によって、年々硬くなっていきます。
まだそれほど視力が落ちていなくても、水晶体は硬くなっている場合もあります。
この場合でも手術自体は可能ですが、水晶体が硬くなって破片は刃物のようになり、手術中の水流によって周囲を傷つける可能性があります。
角膜を透明にしている細胞や水晶体を包む膜などを損傷させてしまうと、破片を処理したり、眼内レンズを縫い付けたりといった処置が必要となるケースもあります。
水晶体が柔らかい状態であれば、こうしたトラブルが起きる可能性も低いため、なるべく早い段階での手術が望ましいといえるでしょう。
まずはセルフチェックから始めましょう
ここまでは白内障を放置した際のリスクについて解説してきました。
この記事を読んで「ひょっとしたら、自分も白内障を患っているかもしれない…」と不安に感じる方もいらっしゃるかもしれません。
そうした方は、まずは焦らずにご自身で出来る白内障のセルフチェックを行い、状態をチェックすることをお勧めします。
その上で、不安を感じる方は眼科で受診をしましょう。
詳しくはこちらの「白内障の症状が分かるセルフチェック項目とその見分け方」の記事をご覧ください。
早期に眼科で適切な検診を
白内障は放置するとさまざまな病気やトラブルを引き起こす原因になりますが、治療できる病気のため、放置せずに早期の手術を実施することが望ましいといえます。
疑わしい症状が出たときは、悪化する前に眼科で適切な検診を受けるようにしてください。
当院では、高度な専門性を有する医療スタッフによる医療の提供を通じて、白内障を主体としつつ数多くの目の病気への治療に対応しております。
特に白内障の日帰り手術に注力しており、多焦点眼内レンズも豊富に取り扱っております。その他硝子体、眼瞼下垂、涙道、緑内障等の治療についても日帰り手術が可能です。
また、明石市のみならず近隣地域(神戸市西区、神戸市垂水区、淡路市等)にお住まいの患者さんからも多くの治療のお問い合わせをいただいております。