色が分かりにくい際の原因や症状と対処法・治療法 | 明石の田村眼科|日帰り白内障・硝子体・涙道再建・緑内障・眼瞼下垂手術

医療法人瞳潤会 田村眼科
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色が分かりにくい際の原因や症状と対処法・治療法

色が分かりにくい「色覚異常」の原因や症状、対処法・治療法について解説します。
色覚異常の場合は、そうでない人に比べて色の区別がつきにくくなっています。
しかし、症状を知り、ご自身の色覚の癖を知っておけば、日常生活上の多くの事柄について対処することが可能になります。
今日でも、特殊な職業や資格試験等においては安全上その他止むを得ない理由により、制限が設けられている場合があります。
そのため、特に児童生徒が不利益を被る事のないよう、色覚検査の実施を積極的に推し進める通知が出されています。
今回の記事では、色覚異常の原因や症状、対処法について解説していきます。

 

色が分かりにくい際の症状

見えるものの色が分かりにくい色覚異常の際の症状には、次の3種類があります。

 

【症状】

  • 1型色覚:主に赤色に対応する細胞の障害
  • 2型色覚:主に緑色に対応する細胞の障害
  • 3型色覚:主に青色に対応する細胞の障害

 

人の網膜が感じ取る色は赤・緑・青の3色ですが、色覚異常の方は遺伝もしくは眼の障害により3色が分かりにくい状態になります。
1型色覚は赤色、2型色覚は緑色の信号が弱くなるため、赤色と緑色を見分けることがむずかしいという共通点があります。
例えば、以下のようなものが見分けにくい事が考えられます。

 

  • 信号その他赤い標識
  • 車等のブレーキランプ
  • 黒板の赤いチョーク書き
  • 教科書や地図の一部、化学反応の変化、磁石の極など
  • カレンダー上の祝日の色
  • 肉の焼き加減
  • 血便
  • 皮膚のかぶれや人の顔色の変化など
  • レーザーポインタ
  • UNOや麻雀などの手札

 

3型色覚では、色を見分けることはできるものの、はっきりとしていない色は識別できなくなります。
また色の種類ではなく、色が分かりにくい症状の強さによりさらに次のようにも区別されます。

 

【症状の強さ】

  • 1色覚:すべての色の識別が困難
  • 2色覚:1色について識別が困難
  • 異常3色覚:すべての色の感じ方が弱い

 

色が分かりにくい症状の中で最も深刻なのは第1色覚異常で、視界に入る景色がすべて灰色に見えるようになります。
以上のように色を見分けることが難しい場合は、症状の強さや種類により細かく分類されます。

色が分かりにくい原因

色が分かりにくい症状が現れる原因は、先天性と後天性の2種類に分けられます。
先天色覚異常は遺伝(伴性劣勢遺伝)です。伴性劣勢遺伝はX染色体の異常により認められ、基本的には次のようになります(例外もあります)。
男性の性染色体はXY、女性はXXです。 ここで正常なX染色体をX(大文字)、異常なX染色体をx(小文字)と表記すると、組み合わせはXY(正常・男性)、xY(発病・男性)、XX(正常・女性)、Xx(保因者・女性)、xX(保因者・女性)、xx(発病・女性)、となります。
男性はX性染色体が1つなので、その1つに異常があれば発病します。女性はX性染色体が2つあり、その2つともに異常がなければ発病しません。このような伴性劣性遺伝の特徴によって、男性の方に色覚異常が多く認められます。
ちなみに、遺伝の優性・劣性についてはどちらかが優れていたり劣っていたりするものではなく、その特長が現れる頻度を示しています。
近年、誤解を避けるために「顕性・潜性」と呼び改める動きがあります。
また、色覚異常という病名についても、「色覚多様性」という呼称が日本遺伝学会により提案されています。

後天性色覚異常の原因

後天性の色覚異常にはさまざまな原因がありますが、主に眼疾患や加齢が原因です。
糖尿病性網膜症・網膜剥離・中心性漿液性網脈絡膜症・緑内障・白内障などの眼疾患や、加齢による視覚中枢の変化が主な原因ですが、心因性要因で発症するケースもあります。
後天的に色が分かりにくい症状が現れる場合、最初に青色の識別が難しくなる傾向にあります。
後天的な色覚異常はさまざまな病気により引き起こされる合併症と言えるでしょう。

色が分かりにくい際の病気(後天性色覚異常の場合)

それでは色が分かりにくい症状が確認できた場合の疑われる病気の可能性について解説していきます。
色覚異常自体が病気であると考えられますが、次のような病気の症状として発症することもあります。

白内障

白内障が原因で後天的色覚異常を発症することもあります。
白内障では水晶体が黄色く変色するため、視界全体の黄色みが強く感じられるようになります。
つまり水晶体が黄色のフィルターの役割を果たすことから、正常な色が認識できなくなるのが原因です。
黄色く変色した水晶体では波長の短い青色を透過しにくくなります。
したがって青色が感じられにくくなり、黄色・茶色・赤色などが強く感じられるようになるのです。
白内障が原因として発症しているケースでは症状が進行していくこともあり、進行した場合は手術による治療が必要となります。

 

詳しくは「白内障の症状や見え方、眼内レンズ、日帰り手術の詳細」の記事で詳しく紹介しておりますので、ぜひご一読ください。

緑内障

白内障だけでなく緑内障で色を見分けることが難しくなることも少なくありません。
発症の機序は白内障と異なり、眼圧が高まることにより色覚を感じ取る錐体系に影響が与えられることが原因です。
緑内障でも青色が見えにくくなる症状が現れ、青色・黄色が見えにくくなる傾向があります。
しかし赤色が見えにくくなる患者もいて、緑内障における症状は人それぞれです。
緑内障は失明の可能性も高い眼疾患なので、たとえ色覚異常の症状が現れなくてもしっかりと治療を受けるようにしてください。

 

詳しくは「緑内障の症状」の記事で詳しく書かれているので、ぜひ読んでみてください。

糖尿病

後天性色覚異常を引き起こしやすい病気が糖尿病です。
糖尿病では網膜症や白内障などの合併症も知られていますが、色が見分けられない症状も起こりやすいとされています。
発症の確率は血糖コントロール状態と神経障害の程度により変化します。
網膜症と併発している場合は、網膜症の症状進行にともない、色が見分けられない症状も悪化する傾向があります。
糖尿病に罹患している方で色が分かりにくいと感じられるなら、合併症として発症していることが疑われるので眼科医に相談しましょう。

中心性漿液性脈絡網膜症

中心性漿液性脈絡網膜症とは網膜の中心で剥離が生じる眼疾患です。
症状は色を見分けるのが難しいことに加え、視力の低下・視界の歪み・視界の縮小化・視野中心の暗転などが見られます。
原因は不明とされていますが20~50代男性での発症が顕著であることから、ストレスや過労、睡眠不足などにより引き起こされると考えられる病気です。
また妊娠している女性への発症や、副腎皮質ステロイド薬の副作用としての発症も見受けられています。
重症化・慢性化することもあるので眼科での受診は必要です。

 

詳しくは、こちらの「中心性漿液性脈絡網膜症の原因や代表的な症状、一般的な治療法」の記事で詳しく説明しています。

色が分かりにくい際の対処法・治療法

色が分かりにくい症状が現れた場合の対処法は、眼科の検診を受け、病気についての知識を深めることです。
中心性漿液性脈絡網膜症などの後天的な色覚異常は、原疾患の具合により改善されることがあります。
しかし先天性のものに関しては治療法がありません。
そのため病気について知識を深めることが最も重要です。
明るいところで色彩を確認したり、ご自身が誤認しやすい色を知っておけば注意するべき点がわかるようになります。
いずれにしても眼科の検診を受け、ご自身の病気のタイプを知ることから対処を始めましょう。

先天的に色が分かりにくい色覚異常は上手に付き合うことが大切

色覚異常も原因によって有効な対処法が変わってきますので、しっかりと予備知識をつけておくことが重要です。
その上で色が分かりにくい症状が認められる場合は、眼科の検診を受けるようにしましょう。