アトピー性白内障
高齢者の方が患うと思われている白内障は、実は年齢に関係なく発症する可能性があります。
白内障は加齢だけが原因ではなく、先天的な体質や糖尿病、外傷などにも起因するからです。
中でも、アトピー性皮膚炎を患っている人は、白内障を合併する危険があります。
そこで本記事では、アトピー性白内障について、原因や症状・手術の方法や予防法などを紹介します。
アトピー体質の方や、近頃目に違和感を抱いている方は、ぜひ参考にしてください。
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目次
アトピー性白内障とは
最初に、アトピー性白内障がどのような疾患であるのかを見ていきましょう。

概要
アトピー性白内障とは、アトピー性皮膚炎によって起こる眼の合併症の一つです。
物を見るときにレンズの役割を果たす水晶体が、何らかの理由により傷つくことで、白く濁ってしまい、視力に悪影響をもたらします。
アトピー性皮膚炎とは、皮膚のバリア機能が弱く、黄色ブドウ球菌やダニ・汗・ペット・ストレスなどの刺激に敏感に反応してしまい、かゆみのある湿疹が慢性的にある疾患です。乳児期に多発し、発症から10~15年後に白内障の症状があらわれることがあります。
そのため、アトピー性白内障の患者は、乳幼児から思春期の子供・20~30代の若年層が多いです。
特徴
アトピー性白内障には、加齢による白内障と異なる特徴が存在します。
アトピー性白内障では、水晶体の中央前面にヒトデ型・クローバー型の白濁が観察されます。
これは、水晶体を包み込む水晶体嚢から濁り始めることが要因です。
体嚢前部が濁ると「前嚢下白内障」、後部が濁ると「後嚢下白内障」と呼ばれます。
また、加齢による白内障は徐々に症状が進むのに対し、アトピー性白内障は短期間で進行し、水晶体全体が濁る「成熟白内障」にまで至る可能性があります。
その理由の一つは、水晶体の周りの皮質が通常より溶けやすいためです。
そのため、20~30代の若い時期に手術を行うことも少なくありません。
アトピー性白内障の症状
アトピー性白内障は、水晶体が白く濁ることにより、視力の低下を引き起こします。
その特徴的な濁り方から、発症初期は明るい場所において、瞳孔が小さくなるため見にくく感じるパターンが多いです。
他にも、眩しく感じたり、物が霞んだり二重に見えたりなどの症状があらわれます。
進行速度が早いため、急激な視力の低下を感じてから、ようやく発症に気づくこともあります。
ただし、片目のみ白内障を患うと早期発見が難しくなるため、要注意です。
アトピー性白内障の原因
アトピー性白内障の明確な原因や発症のメカニズムは解明されていません。
しかし、アトピー性皮膚炎を患っている場合、顔や目の周りをかいたり叩いたりすることで、目に衝撃・傷害を与えやすくなります。
特に、アトピー性皮膚炎を長期間患っていたり、症状が重かったりすると、白内障になる可能性が高いとされています。
また、アトピー性皮膚炎の治療でステロイド剤を服用していると、副作用により白内障を発症するケースも見られます。
アトピー性白内障の手術
アトピー性白内障は、点眼薬により進行を遅らせることは可能ですが、失った視力を回復するためには手術が欠かせません。
しかし、発症後すぐに手術を要するわけではなく、進行具合やライフプランに合わせた治療法を選択することが大切です。
アトピー性白内障の手術では、一般的な白内障の手術と同様、濁った水晶体部分を砕いて吸引し、人工の眼内レンズを挿入します。
眼内レンズの度数を決めるためには、眼球の前後長を正確に記録する必要がありますが、白濁が強いとデータ測定が難しいことがあります。
そのため、軽症のうちに眼科を受診し、検査することが重要です。
また、アトピー性皮膚炎を患う人は白内障だけでなく、まぶたの炎症である眼瞼炎やアトピー性結膜炎、網膜剥離や網膜裂孔などの合併症を引き起こしているケースが見られます。
特に、網膜剥離は失明の危険性もある重大な疾患で、眼内レンズを挿入できない可能性も考えられます。
よって、手術前に眼底検査を行い、慎重な治療計画を立てなければなりません。
さらに、水晶体を支えるチン小帯が脆弱な方が加齢性白内障の方よりも多い傾向があり、眼内レンズが傾いたり硝子体内に落ちてしまったりする場合には、手術の難易度が上がります。
いずれにせよ、術後には細菌感染や眼内レンズが衝撃により動くリスクがあるため、術後の管理が大切です。
アトピー性白内障の予防
アトピー性白内障を防ぐためには、皮膚炎を悪化させないことが重要です。
皮膚炎の治療やケアを怠らず、できる限り目の周りを擦ったり叩いたりしないよう注意してください。
また、定期的な眼科受診で、早期発見に努めましょう。
当院では白内障の日帰り手術に注力しております。
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アトピー性白内障は徹底した予防と早めの治療が大事
アトピー性皮膚炎を患っている人は、白内障のリスクも上がることを踏まえ、皮膚や目の周りのケアを入念に行うようにしてください。
当院では、高度な専門性を有する医療スタッフによる医療の提供を通じて、白内障を主体としつつ数多くの目の病気への治療に対応しております。
特に白内障の日帰り手術に注力しており、多焦点眼内レンズも豊富に取り扱っております。その他硝子体、眼瞼下垂、涙道、緑内障等の治療についても日帰り手術が可能です。
また、明石市のみならず近隣地域(神戸市西区、神戸市垂水区、淡路市等)にお住いの患者さんからも多くの治療のお問い合わせをいただいております。