ハロー・グレアが低減された多焦点眼内レンズ「Clareon Vivity」
Alcon社の波面制御型焦点深度拡張レンズ「Clareon Vivity(ビビティ)」は、ハロー・グレア等の異常光視現象の発生が抑制された多焦点眼内レンズです。
ビビティは2020年には既にFDA承認されており、多数の使用実績を上げた状態で2023年に日本で発売となりました。この間、様々な研究データや論文でその有用性等が評価されてきた中で、今年2025年5月には乱視対応の「Vivity Toric(ビビティ トーリック)」が満を持して登場。適応が更に拡大し、利用しやすい多焦点レンズとなっています。
Alcon Clareon Vivity IOL
ビビティは、特に夜間に運転を行う方に選ばれています。非回折型多焦点レンズであるビビティは、従来の多焦点レンズと比べて異常光視症(ハロー、グレア、スターバースト)がかなり抑えられているからです。対向車のライトや街灯が気になりにくく、中間距離にあるスピードメーターやカーナビといった機器類も見えやすい事が大きな特徴です。
下図のハロー現象のシミュレーション比較を見てみると、右側の「PanOptix(回折型多焦点レンズ)」との見え方の差は明らかで、左側の「単焦点レンズ」に近い見え方となっています。
Alcon社製品内でのハロー現象シミュレーション比較
また、良好なコントラスト感度に加えて、焦点深度拡張(EDOF)によって遠方から中間距離まで連続して焦点が合う事も、運転される方にとっては大きなメリットといえます。
次に、独自技術「波面制御テクノロジー(X-WAVE™)」についても触れておきます。技術的には、レンズ中央部に1μm程度のごく僅かに隆起した領域を設け、また2.2㎜の領域においても僅かに曲率を変化させる事によって、波面を引き延ばしたりシフトすることを可能にしています。
これらの技術によって、従来の多焦点レンズで問題となっていた光学ロスをほとんど生じさせずに、光エネルギーを最大限有効活用し、高いコントラストや焦点深度の拡張を実現しています。下図の光量分布図を見てみると、特に中間距離での光量確保に寄与している事がうかがえます。
波面制御による光量分布図
しかし、中間距離から近方にかけては光が収束してしまっている事にお気づきのことと思います。比較対象真ん中の「PanOptix(パンオプティクス)」は、遠・中・近の3つの距離に焦点が合う3焦点眼内レンズで、Near(40cm)付近においてもはっきりとした集光領域があります。
一方、ビビティは「実用的な近見視力」をうたっており、ある程度の距離までは見えやすくなる可能性があります。ただし、近くをはっきり見ようと思えばやはり眼鏡が必要になります。眼鏡の装用頻度を下げたいと思われている方、遠くと近くをよりはっきり見たい方等にとってはデメリットといえます。
従来の多焦点眼内レンズとビビティ、どちらのメリットも捨てがたいという方には、「モノビジョン法」や「Mix & Match(ミックスアンドマッチ)」といった方法もあります。
モノビジョン法は、左右それぞれの目にターゲット差を設ける事で遠くから近くまでをより広範囲にカバーする手法です。一方、ミックスアンドマッチは、それぞれの目に異なる種類の眼内レンズを挿入します。ビビティとそれ以外のレンズを組み合わせる事で、より良い結果に繋がった方もおられます。
明石の田村眼科では、患者さんのライフスタイルや詳細な検査結果をもとに、最適なレンズを提案出来るよう努めています。ビビティ以外にも様々なレンズを取り扱っていますので、どうぞお気軽にご相談下さい。
